生活の記

旅行記1

1人暮らしを始めてから4日間も家を空けたことがなかった。

スーツケースの中身は前日ある程度準備していたし、足りないものは買い足せばいい。

取り返しのつかない窓やガス、電気は何度も何度も確認した。

 

4月末職場でのストレスに耐えていた心身が限界を迎え、適応障害という診断を受けた。何よりもここまで1人で頑張ってきたことが報われなかったような気がしてとても悔しかった。

周りに頼りない人しかいなかった環境で藻掻いていたことは意味のないことだったのか

決して自分のせいではないのだが、全てを自分のせいだと考えてしまった。

(ここらへんの話はいつかまた)

 

せっかく立ち止まる時間ができたのだから、今までやりたいことリストに挙げていたことを消化しようと思った。一人旅だ。そうだ、一人旅をしよう。行きたかったところにいって、気の赴くままに行動して、死んでしまった心に水をあげに行こう。

考えてから行動し始めるまでは早かった。旅程を決め、新幹線・宿泊場所を予約。出発日のたった1週間前の話だ。

こうして、5/15(月)~5/18(木)の3泊4日、京都・奈良一人旅計画が企てられた。

題して『参拝したかった神社仏閣・仏像巡り旅~ついでに美味しいものも食べる~』

 

正直、旅行初日の朝が訪れるまでは「急すぎたかな」と後悔さえしていた。

アラームに起こされてからは前日までと打って変わってそわそわどきどき。

「絶対に大きすぎるわ」というスーツケースの大きさ以外は上向きな気持ちで出発した。うきうきし過ぎて最寄り駅のホームへのエレベーターでちゃっかり写真を撮った。

新幹線に乗るからには駅弁を購入しようと考えていたのだが、しっくりくるものがなかった。じゃがりこわさび味、いくらおにぎり、水を購入。

いよいよ新幹線に乗り込んだ。一人で新幹線に乗ることに若干の不安と緊張があったが、2年ほど前付き合っていた人に会いに複数回一人で乗車していたことを思い出し、「あの時の私ありがとう」と心底思った。

 

ーーここまで書いて約2週間経過してしまった。見たもの感じたものを完璧にここに記そうとした結果、手をつけることが億劫になってしまった。「やるからには完璧を目指さなければ」という考えがいつのまにか頭のど真ん中にいた。よくない。どこかに出すわけでもない、全てを記せなくても私の中に残っているのだから。適当にゆるく書く。そうしてまたパソコンに向かうことができた。ここまでの旅行記よりも断然適当だが、個人的なブログなんてそんなものだろう。では、ゆるく続きを振り返る。ーー

京都タワー弥勒菩薩

京都に来たからにはまず京都タワーを見上げなければ!と京都に行く度に思う。

 

三十三間堂弥勒菩薩

この旅の目的の一つ、三十三間堂へ。仏像が好きな私には決して言い過ぎではなく”天国”のような場所だ。三十三間堂は正式名称を『蓮華王院(れんげおういん)』と言い、堂内には1001体の観音像がまつられている。観音像以外にも風神・雷神像や観音二十八部衆像をみることができる。

靴を脱ぎ下駄箱へ靴を入れ、堂内へと進む。観音像が目いっぱいに映った瞬間、「ああまた帰ってこれたのだな」と胸がいっぱいになり涙が出た。しばらくは動かず立ち尽くそうとしていたのだが、コロナが落ち着いたからだろう、修学旅行生やおしゃべりなおばさま軍団が次々と堂内へ入り、口々に「わあ~すご~い」と大きな声で言うものだから、静かな気持ちで見つめることがなかなか難しかった。人々がそれなりにまばらになってからゆっくりと堂内を進んだ。私の心の拠り所であることを改めて実感できた。観音像がまつられている裏にも観音像やお堂にまつわる展示があり、一つ一つ拝見した。気付けば約1時間経過していた。帰りにポストカードを購入。

 

お堂を出るとにわか雨が降っていた。ホテルに折り畳み傘を忘れてしまった私は、雨が止むまで待つことにした。ものの20分で雨は止んだ。雨がまた降る前に、とバスに乗り込んだ。

清水寺

時刻は既に15時。今日はあまり遠くへ行けないと思い、清水寺二年坂三年坂方面へ。と言っても、今回の旅は今まで参拝できなかったところメインのため清水寺は遠くから眺めたのみ。青い紅葉と赤のコントラストが美しかった。

5月中旬と言えど、この日は気温が20度後半。とても暑かったので、修学旅行生やカップルに交じって抹茶ソフトを食べた。一人で観光している方はほとんど見なかったが、何ら周りが気にならず寂しさもなかった。

五重の塔、ザ京都という風景

とにかく外国人観光客と修学旅行生が多かった。制服を着させられながら観光している修学旅行生は眩しく見えた。

六波羅蜜寺

空也上人立像を拝見しに初めての参拝。清水エリアから近いのだが、ほとんど人がいなかった。普段は見られない掛け軸が特別に展示されており、一つ一つ解説を読み像を食い入るように見つめた。展示室で40前後の男女4人グループが大きな声でずっと話しており少し気が滅入った。誰にでも開かれている場所ではあるが、せめてここでは私語を慎んでくれ、あなたたちにとっては退屈な場所かもしれないが、軽くない想いを抱えて来ている私のような人もいるのだぞと言いたくなる気持ちを必死に押し込めた。

天狼院書店

祇園方面へ向かっている途中にふと現れた書店。吸い込まれるように入店。小さな書店だが、オーナーの趣味であろうジャンルや作家の書籍が置いてあった。本への想いがある人が創りあげた空間は居心地がいい。ジャンルレスで置いてある街の本屋さんより個人的には好きが偏った書店が好きだ。

こちらでずっと気になっていた千早茜著の「しろがねの葉」を購入。二階のカフェスペースで1時間ほど読んだ。観光地の喧騒から離れ、読書に集中する時間は私に必要だった。

暗くなる前の祇園を歩き回り、先斗町へ向かったが人が多く京都駅へ戻った。

京都駅内の和食屋さんにておばんざいセットのようなものを食べた。

1日目にして結構歩き回り、暑さにもやられ、疲れ切ってしまった。

ホテルに戻り、シャワーを浴び、本の続きを少し読み眠った。